こんにちは、前田動物病院です!このページではCT検査に関して麻酔リスクなどから一歩踏み出す事がなかなか難しい状況が多い中で、なぜ先生が勧めるのか、メリットは?といったところをより皆さんに知っていただく事を目的に発信しています。
尿管結石ってなに?
「尿管結石」とは文字通り、腎臓から膀胱への尿の通り道である”尿管”に”尿石”が詰まってしまうことを言います。人でもよく耳にしますね。三大疼痛なんて言われることも。この病気はわんちゃんやねこちゃんにもあります。
この病気は腎臓に強く負担がかかり命にかかわります。また、発見が難しいケースもあり、通常の画像検査(レントゲン、エコー検査など)でははっきりしないこともあります。
今回は通常の画像検査だけでなくCT検査も行うことでより安全でスムーズな診断・治療に繋ぐことができた症例についてご紹介します。
今回協力してくれるのは
9歳の猫 himari ちゃん(仮名)
今回この記事に協力してくれるのは9歳のhimariちゃんです。改めてよく乗り越えたね。では経緯をご紹介します。
2~3日前から元気食欲がなく嘔吐があるとの事で来院されました。
普段はご家族以外にはあまり距離を縮めないhimariちゃんですが撫でてもじっとして動こうとしません。しんどそうです。
血液検査をすると腎臓がかなり悪いことがわかりました。
画像検査で腎臓を診てみると、右側は尿の流れが少し悪い見え方をしていましたが左側はそれほどでもありませんでした。
ただし血液検査では両側とも悪くなっていると出ているのではっきりしない検査結果となりました。
よってご家族と相談して詳しくみるためにCT検査をしました。
CT検査によって
安全でスムーズな手術・治療が実現
手術前のCT検査で右側の尿管結石を確認しました。
そしてレントゲンやエコー検査では見えなかった左側の結石も発見しました。
手術の合併症リスクから今回はまず左側のみ実施して、右側は”腎瘻チューブ”という道具を使って一時的な応急処置をしました。
その後、適切なタイミングを見計らって右側の手術もしています。
厳しい状況を何とか乗り越えてくれたhimariちゃん、現在は体重もどんどん持ち上がり元のように幸せな日々を送っています。
あとがき
今回は「尿管結石」という病気を通して皆さんにCT検査の良さをご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
今回のように精密な検査を行うことでより良い治療へとつながるケースはよくあります。また、CT検査でしかわからない病気をたまたま見つけることもあります。
たしかにわんちゃんやねこちゃんは完全にじっとはできないため、無麻酔CT検査という選択肢もありますが、基本的には全身麻酔が必要で、その際の麻酔リスクの話は不安になりますよね。
しかし、「やってよかった!」、「安心感が変わった!」というケースもたくさんあるのだなという事をこの記事を通して皆さんに感じていただけたら幸いです!